昭和七年、故、毛利愛子の手によって設立されました。

佐賀錦は、江戸中期、佐賀の鍋島藩の大奥の婦人方の考案により、

生まれたと伝えられ、それより各種の改良が加えられ、現在に至った

ものですが、鍋島藩の中でも特に熱心に佐賀錦に取り組まれたのは、

鹿島の鍋島家でした。それ故、大正年代までは、佐賀錦と言わず、

鹿島錦といわれておりました。

その鹿島の鍋島家に、毛利家の一門である、徳山の毛利家より、

毛利政子が嫁ぎ、必然的に、佐賀錦を習得するところとなりました。

亦、政子の次男、鍋島直立と愛子の次男毛利元博が、幼稚園よりの

同級生という事もあり、愛子も政子より手ほどきを受け、佐賀錦を習得

することになりました。

当時の佐賀錦は、鹿島錦の伝統である、綾織りが主流でありましたが、

愛子は、模様織りに、興味を持ち、独特の”ぼかし”の技法にて、花鳥等

を織り出し、亦、地織りに綾織りを用いる等、創意工夫を巡らし、独特の

技法をうち立てる事に成功しました。

その後愛光会は、戦時中の一時期を除き、昭和三十八年には、越前屋

の多崎照雄氏、中村清商店の市川力三氏の盡力もあり、塚本歌子、

野村静江、松野丁留子、下山久子各氏と佐賀錦錦繍会を設立、愛子は、

初代会長に就任しました。

このように、愛光会は、常に佐賀錦の発展につとめ、多くの業績を残して

きましたが、昭和五十六年、愛子死去の後は、その意志をつぎ、次男、

元博が、会長として、現在に至っております。

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